2021年11月8日月曜日

ファストフードから有害な化学物質を検出 HealthDay Japan Translation - HealthDay - 2021年11月8日

  ハンバーガーをはじめとするファストフードには、ホルモン撹乱作用や、不妊や学習障害などのリスクを高める可能性のあることが指摘されているフタル酸エステルなどの化学物質が含まれていることが、米ジョージ・ワシントン大学ミルケン公衆衛生学研究所のLariah Edwards氏らの研究から明らかになった。研究の詳細は、「Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiology」に10月27日発表された。

 フタル酸エステルは、アルコールとフタル酸から合成される化合物の総称で、プラスチック製品を柔らかくするための可塑剤として広く使われている。しかし、動物実験では、フタル酸エステルの発がん性や生殖毒性、内分泌撹乱物質としての作用などが報告されており、ヒトへの影響が懸念されている。フタル酸エステルは、食品を扱う手袋やベルトコンベア、包装材、チューブなどに使われているが、こうしたプラスチック製品から化学物質が溶け出し、接触した食品に移行する危険性がある。

 そこでEdwards氏らは、米テキサス州サンアントニオ市の複数のファストフード・チェーン店で、ハンバーガーやフライドポテト、チキンナゲット、チーズピザなどの食品を64点購入した。また、食品を扱うときに使う手袋の未使用品も3点入手した。その上で、これらの食品や手袋を対象に、ガスクロマトグラフィー質量分析法により、フタル酸ベンジルブチル(BBP)やフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DnBP)などのフタル酸エステルや、フタル酸エステルに代わる可塑剤(代替可塑剤)として使用が広がっているDEHT〔Di (2-ethylhexyl) terephthalate〕など11種類の化学物質の含有の有無を調べた。

そこでEdwards氏らは、米テキサス州サンアントニオ市の複数のファストフード・チェーン店で、ハンバーガーやフライドポテト、チキンナゲット、チーズピザなどの食品を64点購入した。また、食品を扱うときに使う手袋の未使用品も3点入手した。その上で、これらの食品や手袋を対象に、ガスクロマトグラフィー質量分析法により、フタル酸ベンジルブチル(BBP)やフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジ-n-ブチル(DnBP)などのフタル酸エステルや、フタル酸エステルに代わる可塑剤(代替可塑剤)として使用が広がっているDEHT〔Di (2-ethylhexyl) terephthalate〕など11種類の化学物質の含有の有無を調べた。

 その結果、11種類中10種類の物質がこれらの食品から検出された。注目すべきは、調査した食品の81.3%にDnBPが、70.3%にDEHPが含まれていた点である。これらの化学物質はともに、ヒトの生殖に関わる問題と関連することが多くの研究で指摘されているほか、小児期の学習障害や注意障害、行動障害のリスクを高める可能性もあるという。また、DEHTは、調査した食品の86.4%に含まれていた。ただし、DEHTのヒトへの影響については、明確なことが分かっていない。

 調査した食品のうち、トッピング入りのハンバーガーやチキンブリトーといった肉を使った食品には、対象とした化学物質が最も多く含まれていた。なかでもブリトーはハンバーガーと比べてDEHTの含有量が大幅に多かった(2,200μg/kg対6,000μg/kg)。一方、ほぼ全ての化学物質の含有量が最も少なかった食品はチーズピザだった。

 Edwards氏は、「今回の研究結果は、フタル酸エステルや代替可塑剤がファストフードの食品に広がっていることを示したものだとわれわれは考えている」と言う。ただ、「ファストフードのチェーン店で販売されている食品の加工度の高さや包装の仕方、扱われ方を考えると、この研究結果にそれほど大きな驚きはなかった」とも話している。その上で同氏は、「フタル酸エステルは、内分泌撹乱作用や、生殖機能や小児の神経発達への影響をはじめ、さまざまな健康上の問題に関係することが知られている。そのような成分を多く含むファストフードが、米国人の食事の大部分を占めている」として、著しく懸念される研究結果であることを強調している。

 今回Edwards氏らが調べた化学物質の中には、人体への影響が判明していないものもある。それでも同氏は、「これらの物質の健康へのリスクについて詳細が判明するまでは、消費者は食品中の化学物質の危険性について、常に念頭に置いておくべきだ。なぜなら、こうした化学物質は、ファストフード・チェーン店で提供される食品だけでなく、レストランで提供される食事の中にも含まれている可能性があるからだ」と指摘している。(HealthDay News 2021年10月27日)

 

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