2020年9月5日土曜日

こんなわけで、漢方薬や食べ物や薬草などのほうが安心なのかもしれませんね?

新薬承認のキーマンに流れる製薬マネーの驚愕 審議会委員への多額の金銭授受は妥当なのか 澤野 豊明 - 東洋経済オンライン - 2020年9月5日 お金をもらって新薬が薬として登録され、製薬会社が莫大に儲かる?  皆さんは、自分が病院で処方され薬局から受け取っている薬がどのように国によって承認され、市場に出回っているかご存じだろうか。おそらく多くの人にとってはピンとこない話だろうが、製薬会社にとっては利益に直結する死活問題だ。しかし増え続ける医療費の大半を占める薬代は国民にとっても無関係ではない。薬がどのように、そして誰によって承認されているかについて、国民は知る権利があるだろう。  ところが、あろうことかその非常に公的な要素が含まれる薬の承認プロセスに製薬会社からの不透明な金銭的関わりがあることが明らかになった。今回はこの薬事・食品衛生審議会委員への製薬マネーについて解説したい。  「薬にも毒にもなる」という言葉がある通り、薬はその使い方や量を誤ると身体に大きな影響を及ぼす。場合によっては死に繋がることすらある。そのため、むやみやたらに化学物質を薬として承認するわけにはいかない。本当にその化学物質が薬として安全で、かつ不正なく作られているかを監査するため、多くの先進国が化学物質を薬として承認するための規制を設けている。 新薬承認の仕組みとは?  日本では大きく分けて、主に厚生労働省と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下PMDA)という2つの機関が新薬の承認に関与している。さらに、厚生労働省は薬剤承認業務の一部を自身が管轄する薬事・食品衛生審議会という外部の公的な諮問委員会に委託している。  薬事・食品衛生審議会の委員の選定は厚生労働省が行い、医学だけでなく他の分野も含めた専門家からなる。具体的な運用としては、PMDAによる新薬の審査の後、厚生労働省は薬事・食品審議会において公式な審議を行い、審議会に所属する委員の意見を踏まえて医薬品の承認の妥当性を決定する。  薬事・食品衛生審議会はいくつかの部会に分かれており、部会ごとに審議を行う薬の種類が変わってくる。例えば、医薬品第一部会では降圧薬などの循環器疾患治療薬などの承認業務が行われる一方、医薬品第二部会では抗がん剤の一種である分子標的薬などが審議承認される。  毎回の審議会では事前に審議される薬が決められ、審議が行われた後にそれが薬としてふさわしいかの決が取られる。承認の決に参加する委員たちは公平性を保つため、事前に審議される薬の製造者と競合メーカーとの過去数年分についての利益相反(金銭授受)について自己申告を行う必要がある。1社から50万円以上の金銭授受がある場合には薬の承認の決への参加はできず、1社から500万円以上の金銭授受がある場合には審議そのものに参加できないなどの独自の取り決めがある。  あまり知られてはいないが、薬事・食品衛生審議会の委員名簿や議事録は厚生労働省のwebサイトから簡単に閲覧することが可能だ。ここに審議会の委員たちが自己申告した利益相反書も公開されている。  そもそも製薬企業から金銭的提供を受けている人たちがその企業が作った薬剤の承認業務に関与するというのは、ちゃんちゃらおかしな構造であることは間違いない。ところが、この薬事・食品衛生審議会委員への製薬企業からの金銭提供とその申告の正確さについてはまったく監査がされていなかった。事実、2015年には8名の薬事・食品審議会委員が不正な利益相反開示を理由に辞職に追い込まれるなど不正が後を絶えない。 薬事・食品衛生審議会委員への製薬企業からの支払い  そこで今回私たちは、独自に作成した2016年度の製薬企業からの講演・執筆・コンサルティング等の業務に対する審議会委員への支払い(C項目支払い)データベース(ワセダクロニクルHPにて公開中)を利用して、薬事・食品衛生審議会委員への製薬企業からの支払いについて検討した研究を発表した。発表した論文はアメリカ薬学系の一流医学誌である『Clinical Pharmacology & Therapeutics』誌で論文として2020年5月18日に公開された。ここでは一部その結果を紹介したい。  私たちは数ある薬事・食品衛生審議会の部会の中から特に薬の審議に関わる5つの部会(医薬品第一部会、医薬品第二部会、再生医療等製品・生物由来技術部会、薬事分科会、薬事・食品衛生審議会総会)の2017・2018年度に属する審議会委員について、製薬企業からの支払い、そしてその支払いと委員が記載した利益相反書の整合性について検証した。  まずは表1をご覧いただきたい。  (外部配信先では図や表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンラインでお読みください)  私たちが検証した5つの薬事・食品衛生審議会の部会に所属する委員108 名のうち50%にあたる54人が医師だった。支払総額は1億1576万5006円、平均支払額は107万1898円だった。  2016年度に製薬企業から1回以上の支払いを受けた委員は51人(47%)で、50万円以上の支払いを受けた委員は32人(30%)、500万円以上の支払いを受けた委員は8人(7%)だった。少なくとも1回以上の製薬企業から支払いを受けた51人の会員のうち、38人(75%)が医師だった。 第二部会委員への支払いは全体の半分以上  特筆すべきは、医薬品第二部会の委員への支払総額は6619万8442円で、5つの委員会の全108人の委員への支払総額全体の57.2%を占めていた。また、1人の委員への支払額で最も高額だったのは、1086万3404円だった。  表2では、部会ごとの支払いと委員が記載した利益相反書の整合性について示した。  5つの部会で8530件の申告書が確認されたが、そのほとんどが医薬品第一部会(3676件)と医薬品第二部会(4446件)の委員による申告だった。  そのうち、409件(4.8%)の申告では、データベースから抽出した金額よりも低い支払額が記載されており、特に409件中112件(27.4%)は、正しい金額が開示されていれば、委員が薬の承認の決に参加できなかった(1社から50万円以上を授受)可能性がある。  余談ではあるが、私たちが論文執筆中に厚生労働省から公開された利益相反申告書を検証していた際、3人の委員からの90の申告が公表されていないことが明らかになった。私たちはすぐにこれを厚生労働省に問い合わせた。すると「確認する」と言われたのち、数日中に公開された。新たに公開されたデータは今回の研究には含めなかったが、いかに厚生労働省が薬事・食品衛生審議会の委員の利益相反についてずさんな管理をしているかが明らかになった形だ。  ご存じの通り日本では”国民皆保険制度”が導入されており、承認された薬はすべて国民健康保険で賄われる。つまり、皆さんが払った保険料が7割ないしは9割適応される。さらに、高額な薬については高額療養費制度が適応されるため、より多くの保険料が支払われる。薬にはとんでもなく多くの公的な金銭が充てられているということだ。  したがって、政府や薬事・食品審議会の委員に課せられた責務は、特定の製薬企業や個人の利益のためではなく、公益のために働くことであり、彼らの意見は公正でかつ根拠に基づいた偏りのないものでなければならない。  それにもかかわらず、今回の調査では、医薬品承認を司る機関に属する薬事・食品審議会の委員の47%が2016年度に製薬企業から少なくとも1回の支払いを受け、委員1人当たりの平均支払額は107万1898円であったことが明らかになった。さらに、審議会会員の利益相反申告の約5%は、当該製薬会社から報告された支払額を下回っており、そのうち27.4%の申告では薬の承認の決に不正に携わっていた可能性があることも明らかになった。

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