2020年9月5日土曜日

前回の続きです 薬として飲まされる方は、どうなっちゃうの?だから漢方薬や中医薬のほうが安心、経験の量が違うし!!!

支払いが少ない委員も  今回、特に注目すべき結果は、医薬品第二部会の委員への支払いが全体の57%を占めており、しかもこの医薬品第二部会に占める医師の割合も67%と最も高かったことだ。医薬品第二部会は、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など、製薬会社に莫大な利益をもたらす可能性のある医薬品の命運を握っている。逆に、新薬をそれほど頻繁に扱わない再生医療等製品・生物由来技術部会の委員への支払いは最も少なかった。  また蛇足ではあるが、ここで支払いが多かった委員を見てみよう。表3に支払いが多かった上位10人をリストアップした。  単年あたりに1000万円を超える金銭授受がある委員がいることには呆れ果てるが、驚くことに上位9名を大学教授が占めている。これまでの研究でも、製薬企業と大学教授や医学分野の学会の理事などには強い金銭的関係があることが示されており、その結果と矛盾しないと言えよう。  以上の結果からは、製薬企業にとって将来的に利益を得られる可能性のある医薬品を扱う部会の委員への支払いが多くなっているように解釈できる。このように露骨な利益相反がある委員たちを新規薬剤の審議・承認に携わらせることは倫理的に許容されるのかについては疑念が残る。  確かに現時点でも独自のルールによって、自己申告で審議中の単一製薬企業から500万円を超える支払いが存在する委員は承認審議に参加できない取り決めがある。このような甘いルールで医薬品規制に関する意見や独立性を完全に担保することができるかどうかは疑問ではあることに加えて、今回の結果に見るようにそれがまったく無視され少なくない委員が不正に新薬承認の決に参加していたり、厚生労働省のずさんな対応に見るように利益相反についてのガバナンスが厳格に監視・運用されていなかったりする現状は、看過できない。  だが、政府の公的な医薬品規制を担うとはいえ、薬事・食品衛生審議会に所属する委員が製薬企業から金銭を受け取ること自体は適切に開示を行えば違法ではない。また、製薬企業と金銭的な関係があっても専門的な知識を有する委員の意見は審議にとって非常に貴重なものであり、患者にも利益があるだろう。 透明性の追求とガイドラインの厳格化が必要だ  そして実際には利益相反があっても製薬企業からの圧力や影響を受けていない可能性もある。しかし、現状に鑑みれば、不正や汚職を避けるためには、ある程度透明性を追求し、公益に携わる人物を規制するためのガイドラインは現状よりは厳格である必要があろう。  今回われわれが行った研究は、初めての薬事・食品審議会委員への製薬マネーを調査したものだが、いまだ検証が不十分な点がいくつかある。  第一に、本調査で使用したデータベースは私たちが多大なコストを割いて独自に作成したもので、2016年度についてしか検証が行えていない。最近2017年度のものも公開されたが、今後も継続的に検証を行う必要がある。  第二に、薬事・食品審議会委員による利益相反申告書と私たちが有するデータベースとの整合性を分析したが、このデータベースでは製薬協に所属する企業を中心とした78社の支払いしか確認できないため、開示を義務付けられていない製薬企業からの支払いについては今後検討する必要がある。  そして最も重要な検討課題は、本調査が製薬企業からの金銭関係が審議会委員の行動に何らかの影響を与えたかどうか証明するものではないことだ。各委員の議決に関するデータは公開されていないため、この点は私たち自身の力だけでは今後も解決することができない。今回検証できなかった点を含め、将来的には政府を巻き込みより信頼性の高い利益相反の開示システムを導入し、医薬品規制プロセスの透明性を高めていく必要があるのではないだろうか。

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