2020年4月29日水曜日

清肺排毒湯は、日本のエキス製剤にはありませんが、エキス製剤を組み合わせて同様なものを作ることができます。 麻杏甘石湯+胃苓湯+小柴胡湯加桔梗石膏 左3剤を一緒に服用 3.軽症型 軽症型は、「症状が軽く、画像では肺炎症状が出ていない。」と定義され、倦怠感が主体です。 ①胃腸の不調を伴う場合 藿香正気散(かっこうしょうきさん) 日本のエキス製剤にはありませんが、香蘇散+平胃散(左2剤を一緒に服用)で代用できます ②発熱を伴う場合 中医学では、悪寒がない場合は「温病(うんびょう)」と考えて治療します。 金花清感顆粒、連花清瘟 (顆粒)、疏風解毒膠嚢(顆粒) これらもエキス製剤にありませんが、黄連解毒湯、もしくは清上防風湯、もしくは荊芥連翹湯、もしくはこれらの組み合わせで代用することができます。 ③悪寒を伴う場合(日本漢方の考え方) 中国では、日本ほどには葛根湯などの麻黄剤が感染初期には用いられないようですが、寒湿邪による病態と考えると、下記が日本人の病態にはあっていると思われます。 エキス剤: 通常は健康な成人や小児 葛根湯、もしくは麻黄湯 高齢者や倦怠感が強い患者は麻黄附子細辛湯 葛根湯は、インターロイキン1aの産生を抑えたり、インターロイキン12を産生することにより過剰な肺炎を防ぐ可能性が期待されています5)。 ここからは、中医学用語が多く出てきますが、わかりやすく説明しました。 大切な概念、「邪」は、病気を引き起こすとされる原因全般を言います。中医学では、「邪」の性質によって治療を決めるので、下記ように分類されていますが、主に臨床症状に注目していただければよいと思います。舌の所見も参考として引用しました。 4.普通型の軽症 (1) 寒湿鬱肺(寒湿という邪で肺機能が低下する) 臨床症状:発熱、倦怠感、筋肉痛、咳嗽、痰、胸の不快感、消化不良、食欲不振、吐気、嘔吐、排便の不快感。舌質は淡紅(ほぼ正常な色)、腫大歯痕があり、苔は白厚膩(厚くペンキを塗ったような苔) 。 推奨処方:生麻黄6g、生石膏15g、杏仁9g、羌活15g、葶藶子15g、貫衆9g、地龍15g、徐長卿15g、藿香15g、佩藍9g、蒼朮15g、雲苓45g、生白朮30g、焦三仙各9g、厚朴15g、焦檳榔9g、煨草菓9g、生姜15g エキス剤の場合 麻杏甘石湯+参蘇飲+平胃散 左3剤を一緒に服用 消化器症状が無いか軽度ならば、越婢加朮湯+麻黄湯(大青龍湯の方意)左2剤を一緒に服用 (2) 湿熱蘊肺(湿熱という邪で肺機能が滞る) 臨床症状:微熱あるいは無熱、微冷感、倦怠感、頭が重い、筋肉痛、渇いた咳、痰少なく、喉の痛み、口の渇き、胸の不快、無汗か汗が出づらい、吐き気、食欲不振、食欲不良、便が緩くもしくは粘りがあり出にくく不快感を伴う。舌は淡紅、舌苔は白厚膩 または薄黄。脈は滑数または濡。 推奨処方:檳榔10g、草菓10g、厚朴10g、知母10g、黄芩10g、柴胡10g、赤芍10g、連翹15g、青蒿10g(後下)、蒼朮10g、大青葉10g、生甘草5g。 エキス剤の場合 荊芥連翹湯+半夏厚朴湯 左2剤を一緒に服用 消化器症状が強ければ、柴苓湯+平胃散 左2剤を一緒に服用 5.重症の場合 (1)湿毒鬱肺症(重度の湿邪により肺機能が低下) 臨床症状:発熱、咳をするが痰が少ない、あるいは痰が黄色い、呼吸困難、腹満、便秘などを伴う。舌は暗赤色、腫大、舌苔は黄膩または黄燥。脈は滑数脈或いは弦滑。 推奨処方:生麻黄6g、苦杏仁15g、生石膏30g、生薏苡仁30g、茅蒼朮10g、広藿香15g、青蒿草12g、虎杖20g、馬鞭草30g、乾芦根30g、葶藶子15g、化橘紅15g、生甘草10g。 エキス剤の場合 麻杏甘石湯+竹筎温胆湯+ヨクイニン 左3剤を一緒に服用 便秘がある場合には、上記3剤+大黄甘草湯 (2)寒湿阻肺症(寒と湿が結びついたことにより、肺機能が低下) 臨床症状:微熱、身熱不揚(つよい熱感があるが体表部には甚だしい熱がない)或いは熱はない、空咳、痰が少ない、倦怠感、胸が苦しい、胃の膨満感と不快感、或いは吐き気がする、下痢便。舌質は淡紅、舌苔は白または白膩、脈は濡。 推奨処方:蒼朮15g、陳皮10g、厚朴10g、藿香10g、草果6g、生麻黄6g、羌活10g、生姜10g、檳榔10g。 エキス剤の場合 五積散(通常の倍量を用いる) 6.重症例 (1)疫毒閉肺症(病邪が肺機能を非常に損なっている) 臨床症状:発熱、赤面、咳をする、痰が黄色く、粘り気で少ない、或いは痰が血を伴う、呼吸が苦しい、精神が倦怠、口が乾き、苦く、粘り気がある、吐き気で食欲がない、便秘、尿の量が少なく、色は深い黄色もしくは赤みを帯びている。舌は赤、苔が黄膩、脈が滑脈、数脈。 推奨処方:生麻黄6g、杏仁9g、生石膏15g、甘草3g、藿香10g(後に入れる)、厚朴10g、蒼朮15g、草果10g、法半夏9g、茯苓15g、生大黄5g(後に入れる)、生黄耆10g、葶藶子10g、赤芍10g。 エキス剤の場合 麻杏甘石湯+五積散+大承気湯 左3剤を一緒に服用 吸痰困難の場合 竹茹温胆湯+柴陥湯 左2剤を一緒に服用 (2)

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